演奏するということ

演奏するということ


 ドラマーにとって演奏するということとはどういうことでしょうか。また、演奏するにあたって一番重要なこととは何でしょうか。テンポをキープできることでしょうか、それともエネルギッシュに叩くことでしょうか、グルービーなリズムを提示できることでしょうか、はたまた、カッコいいオカズをいれることでしょうか。どれも、重要であり、甲乙つけがたい感じがしますね。しかし、よく考えてみると、いまあげた項目に共通するものがあるのです。その共通するものこそが

「聴く人(あるいは見る人)を感動させる」

ということなのです。

 では、感動をおぼえるのは、いったいどの部分でしょうか?私達が感動し、思わず熱い涙が自分の頬をぬらすとき、私達には「心というものかあるんだなあ」ということを感じずにはいられないのではないでしょうか。感動をさそう音楽というものも、心で感じるものなのです。もっというとこの心の中の感性の部分で感じているのです。演奏する上で大切なことは、

「この感性の部分にいかにしてうったえかけるか」

このことが、一番重要なことなのです。

 上手い演奏を聞いても、何の感動もおぼえないということを体験したことはありませんか。エネルギッシュに演奏していても、ただうるさいだけだと感じたことはありませんか?音楽を何年もやっているひとであれば、一度や二度はあるはずです。これらの演奏は残念ながら、聞いてくれる人に少しでも幸せになってほしいとか、少しでも元気になってほしいとか、そのような善なる心、思いが足りないのだと思います。例えば、あなたがある人からプレゼントをもらったとしましょう。そのプレゼントはとても綺麗に装飾されて、いかにも高価な物が入っていそうな感じがしたとします。でも実際に開けてみたら、からっぽだったとしたらどうですか?ショックですよね。技術ばかりが優れていても、肝心の心が不在であるならば、その演奏を耳にすることはまるで、からっぽのプレゼントをもらうようなものなのです。ですから善なる心をもって演奏してほしいのです。愛をもってメンバーに接して、その愛をリスナーに広げていきたいという積極的な気持ちで演奏してほしいのです。あなたがドラムを叩くことで幸せになれる気持ちが、あなた一人にとどまらず、あなたのまわりの人にも広がるように、工夫しましょう。あなたがドラムを叩くことで、バンドメンバーに幸福になれて、あなたのバンドが演奏することで、バンドを見に来てくださったお客様がうれしい気持ちになれるように、そういう心でもって、演奏にのぞんでほしいのです。もしそれがうまくいけば、あなたは必ずやプロフェッショナルになれるでありましょう。
どうやったらお客様に来てよかったと思ってもれるか、そう考えていったら正確なリズムを叩く必要がでてきたとか、どうやったらCDを買ってもらえるかをかんがえていったら、よりグルーブあふれるリズムが必要になったというようになるものなのです。
 バンドメンバーにしても、自分達の曲を気に入ってCDを買ってくれた人たちにしても、たまたま出会ったのではなく、出会うべくして出会っているのです。そういう縁のある方達なのです。そういう方たちを大切にしていこうという気持ちは、本当に素晴らしいものだと思います。もちろん意見が合わないこともあるし、ケンカもするでしょう。しかし、それらのことも自分にとって本当の意味でマイナスにはならないということを知ってほしいのです。すべては自分の肥やしになります。必ずなります。
 まず、技術ありき、理論ありき、自分の表現の場所ありきではないのです。そうではなくて、メンバーやリスナーに向けて愛の思いをもち、限られた自分の才能をどのように使えば奉仕することができるか、そういう気持ちをもつことが演奏する上で大切なのです。









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