<<1ページ>>次のページ
1.ストレートパラディドル |
2.リバースパラディドル |
3.インワードパラディドル |
4.ディレイドパラディドル |
の4つです。そして、ストレートパラディドルの最初のRの位置を、1拍目の16分音符の4番目に位置にシフトさせて、残りの手順を拍のアタマにもってきた手順がインワードパラディドルで、2拍目の8分ウラ(2拍目の前から3番目)の位置にもってきたものがリバースパラディドルで、2拍目の前から2番目にシフトしたものが、ディレイドパラディドルになるのです。(なぜ2拍目なのかというと1拍目の手順のスタートをRスタートにしたいからなのです。)
これをお読みになっている方も、「なーんだそんなの知ってるよ」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、いままで僕が教えた中では、そういう方でも僕がある質問をすると、答えられる方はいらっしゃいませんでした。その質問というのは
なぜこの手順なのか?
という質問です。なぜシングルパラディドルはこの手順になったのか?なぜ数ある手順のなかで、この手順が一番最初に取り組むのにふさわしいとされているのか?なぜなのでしょう?
これには、ちゃんとした理由があるのです。
この理由を知ることで、パラディドルの本質が理解できます。そして、パラディドルの本質が理解できると、もっと深い手順の世界の本質を理解できるようになっていきます。
そもそも手順というのはものすごく広範囲で、世の中のドラマーが考えたすべての手順を知り尽くすことはほとんど不可能です。すべての手順となると、その数はとほうもない数になってしまいます。しかし、実際はパラディドルの手順が、最初に取り入れるのにふさわしいとされているのです。この理由を考えてみましょう。
すべての手順というのは、ほんとうに把握するのは不可能なのでしょうか?
1小節とか2小節、などという長さになってくると、その数は膨大になっていきますね。
しかし、1拍の4連符に限って考えれば、数はしぼられてくるのではないでしょうか。
その数は、実は16種類しかないのです。
その4連符におけるすべての手順を出してみましょう。それは、
という16種類です。
どうですか?1拍で考えると、以外に少ないでしょ?手順の世界が膨大な数に感じてしまうのは、拍の数を指定しないで考えてしまうからです。1拍内であるならば、4連符の場合では16種類しかないのです。
それでは、今度はこのすべての手順から、シングルパラディドルがなぜあの手順になるのかを考えてみましょう。
それを考えるあたって、まずシングルパラディドルの特徴をつかんでおきましょう。それは、
☆シングルパラディドルは、1拍目と2拍目では、ちょうど左右対称になっている。
☆シングルパラディドルは、ダブルストローク(2連打)以上の連打は出てこない。
ということです。
シングルパラディドルは、左右対称になっていますから、すべての手順を左右対称にならべなおしてみましょう。(ここでは、話が複雑になるのを防ぐため、動きの形については言及していません。)
A RLRL(これはごく普通のオルタネイトですね)と左右対称のLRLRをならべてみると、
となります。
この手順は1拍ずつ繰り返してみると、シングルストロークしか使わないのですが、2拍を繰り返してみると、拍のつなぎ目のところで、ダブルストロークがでてきます。これはいわゆるディレイドパラディドルという手順になります。
B RRLLと左右対称のLLRRをならべてみると、
となります。
この手順を1拍のみ繰り返すと、2つ打ち(ダブルストローク)になります。しかしながら、左右対称である2拍をつなげると、4つ打ちを叩くことになります。4つ打ちは使い勝手があまりよくないですよね。
C RLRRと左右対称のLRLLをならべてみると、
となります。
この手順においては、1拍を繰り返すと、3つ打ちが出てきてしまい、使い勝手はよくありません。しかし、対になっている手順とならべることで、3つ打ちが消えて、2つ打ちになります。そうなると手順としての使い勝手は良くなります。これがいわゆるシングルパラディドルとよばれているものです。ストレートパラディドルと呼ばれることもあります。
D RRLRと左右対称のLLRLをならべてみると、
となります。
この手順においてもCと同じように、1拍のみを繰り返すと、3つ打ちが出てきてしまい、手順の使い勝手はよくありません。しかし、左右対称になっている2拍目とセットにすると、3つ打ちがなくなって、2つ打ちがでてきます。そうなった時には、より使いやすくなりますよね。これは、リバースパラディドルとよばれる手順です。
E RLLRと左右対称のLRRLをならべてみると、
となります。
この手順は、1拍を単体で繰り返すとダブルストロークになります。しかし、左右がちょうど逆になっている手順をつなげて2拍で繰り返すと、シングルストロークがでてきます。やはりそうなることで、手順の使いやすさが向上することになります。これは、インワードパラディドルとよばれる手順です。
F RRRLと左右対称のLLLRをならべてみると、
この手順では、1拍を単体で繰り返すと3つ打ちが出てきます。また、左右対称のものを組み合わせると、4つ打ちが出てきてしまいます。これは手順としては使い勝手がいいとはいえませんね。
G RLLLと左右対称のLRRRをならべてみると、
これも上の手順と同じく、1拍だけをくりかえすと3つ打ちがでてきて、対になっているものをセットにして2拍にすると、4つ打ちがでてきてしまい、使い勝手がよくありません。
H RRRRと左右対称のLLLLをならべてみると、
この手順においては、最初から4つ打ちが出てきてしまっています。
やはり使い勝手はよくありません。
4連符においては左右対称に並べられる手順はこれ以上ありません。もちろん、左右対称でないものならば、まだまだたくさんありますよ。でもここではシングルパラディドルの手順を考えるわけですから、左右対称であるこの8通りがすべてになります(Lスタートも含めると16通り)。
左右対称の手順をつなぎ合わせることで、使いやすくなったり、使いにくくなったりすることがおわかりいただけたと思います。
A,C,D,Eは連打が2つ打ちまでに収まりますが、
B,F,G,Hは連打が4つ打ちになってしまい、使い勝手がよくありません。
まとめ
シングルパラディドルというのが、なぜあの手順になったかをまとめてみましょう。
すべての手順は1拍で16通り(1拍を16分音符4つと限定するなら)あります。それをまず、左右対称のものをペアにして、8通りにして、そこから2つ打ちが出てくる手順をピックアップしたものが、あの有名な4つの手順になるというわけです。すべての8通りから使い勝手のよいものを選び出した結果がストレートパラディドルとリバースパラディドルとインワードパラディドルとディレイドパラディドルになるというわけです。
以上のことでわかるように、シングルパラディドルの手順というのは、適当に手順をならべたものなどではなく、しっかりと考えられた手順なのです。ですから、最初にオルタネイトから手順を変化させたいときに取り組む練習としては最適なものなのです。
<<1ページ>>次のページ