脚の動きと足の動き1
脚の動きと足の動き
モーラー奏法の脚への応用を考える際に、体をささえるということと、脚(足もふくむ)を動かしやすくするという2つを高いレベルで融合するということが大切でしたね。
イスの位置について
前回の説明では、このように座ってしまうのはあまりおすすめできませんといいました。
写真1
これは、確かに、体をささえるには都合がいいのです。しかし、実際の演奏上、ビーターが打面を打つことで体を支える時間はほんの一瞬です。
この一瞬のために、足が動かしにくい位置になるように座ってしまうのは、とてももったいないですよね。
クローズド奏法とオープン奏法
体をささえるということから、クローズド奏法とオープン奏法の違いを考えてみましょう。
クローズド奏法では、ビーターが打面を打ったあと、打面と接地しつづけようとすることで体をささえますよね。
一方、オープン奏法は、ビーターが打面をうった後、ビーターが打面から離れることをいいます。
クローズド奏法とオープン奏法では、明らかにオープン奏法の方が、リラックスしやすいですよね。クローズド奏法では、ビーターを打面に打ち付けるわけですから、必然的にふくらはぎに無駄な力を入れてしまうことが多くなります。もちろん、クローズド奏法が必要な場面もあるでしょうから、そういう場合は、できるだけ力をすくなくするということが重要です。
そのためにも、イスの位置の工夫はとても重要です。
では、なぜこの位置だと足が動かしにくくなるのでしょうか?
足の仕組みと動き
それを説明するために、足の関節の仕組みをすこし理解してほしいとおもいます。足部は、いろいろな関節からできていて、とても複雑です。あなたは、足の動きが上下に”だけ”動くものだと思っていませんか ? この動きを、専門的には底屈・背屈といいます。こんな感じですね。
このように確かに、上下にも動きます。しかし、実はこの動きよりも動かしやすい動きがあるのです。それが”斜めの動き”なのです。
これは、専門的には内がえし・外がえしとよばれる運動です。
この運動の利用こそが、足の上下運動よりも、素早くなる動きなのです。
じつは、この動きは足の超高速連打に応用できるのです。
ご自分で底屈・背屈の動きと足をふるわすように内返し・外がえしの運動をしてみてください。
どうですか?
あきらかに足の上下運動の方が動かしにくいですよね。
写真1のように座ってしまうと、普通はプレートに足の裏がべったりついてしまいます。
体をうまくささえるということにしぼって、脚の状態を考えると、
この位置に座るとささえやすくはなります。しかし、 そうすると、足の動きは必然的に上下運動がメインになります。つまり、自然な動きである内返し・外がえしを使いにくくなり、大腿の回転も使いにくくなるということなのです。つまり脚が動かしにくいということになるのです。
以上のことをふまえて、脚を動かしやすい位置にイスをもっていくと、この位置になります。
写真1よりもイスが15センチくらい左によっています。
しかしながら、この位置で注意してほしいことは、プレートにべったりと足の裏をつけてしまうように動くと、かえって体をささえにくくなるということがありえるということです ( べったりつけてはいけないということではありません ) 。大切なことは、前回説明した脚のラインをととのえるということなのです。ベタ足で踏むとラインがくずれることが多くなるので、注意が必要なのです。
このようにすれば、足の内返し・外返しの運動もつかいやすく、ラインをととのえれば、体もささえやすいということになります。
次回は、ななめに脚のラインをととのえるとは、具体的にどういうことなのかを説明します。
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