しゃく骨・とう骨の動き
モーラー奏法に代表されるドラムのリラックス奏法において、この前腕(しゃく骨・とう骨)の動きを正確に理解するということは、非常に大切です。
上腕の回転に、内旋・外旋という動きがありましたね。一方、前腕の回転には、回内・回外という動きがあります。
前腕は、しゃく骨ととう骨の2本の骨が中心となって構成されています。
しゃく骨ととう骨は、下の図のような動きをします。カギをかけるような動きですね。
実は、モーラーブックの中に、この動きをしめす連続写真があります。それがこれです。
よく観察すると、とう骨が回内するときに、ヒットしていることがわかります。
前腕が回転するときは、この2つの骨が関係するわけですが、当ドラムメソッドでモーラー奏法に代表されるリラックスできる奏法を教えてきてわかったことは、
回転が遅い場合は、しゃく骨ととう骨の2つは捻れあうように動きます。とう骨だけでなくしゃく骨側も若干動くと言うことです。
回転が速い場合は、動くのはとう骨がメインで、しゃく骨はほとんど動かないということです。逆も真なりで、とう骨を素早く動かすためには、しゃく骨の動きが止まってきて、軸になる必要があります。この状態をつくりだすことができ、かつ、実際の演奏に取り入れることができれば、
高速シングルストローク ( 例えばテンポ200で 16 分音符を叩く ) が全く疲れずにできるようになります。
私たちの腕は、上腕が内旋 ( 外旋 ) を行うと、前腕は自然に内側 ( 外側 ) にまわるようにできています。このときの動きは、前腕部が回内 ( 回外 ) をしていなくても、内側 ( 外側 ) にまわるようにできています。このとき、肘が伸びていれば、個人差はありますが、腕はおよそ270度くらい回転します。一方、しゃく骨を軸にしたとう骨の回転はおよそ150度です。実際にドラムを叩く場合は、肘を屈曲した状態で演奏するのがほとんどですから、演奏中の前腕の回転幅は最大で、およそ150度ということになります。
この、しゃく骨を軸にしたとう骨の回転は、とてもスピードが上がりやすく、高速になりやすいということがわかりました。この運動は手首が上下に動くように見えてしまったり、フィンガリングで指を握るように動かしているように見えてしまうことがありますが、自分が習得すると、そうではなく、とう骨が動くということがはっきりと見えてきます。
ただし、この奏法で注意しなければならないことは、上腕と前腕(しゃく骨・とう骨)の連携に意識がいかなくなるということです。そうすると、三角筋や僧帽筋が疲れやすくなりますので、注意が必要です。また、腕の先端に意識が向くため、胴体からの動きを忘れがちになりますから、回外・回内によるストロークをする場合は、必ず胴体側から腕を動かすという感覚を身につけてから取り組んでください。へたをすると、肩関節を痛める可能性もありますので、しっかりとした指導者のもとでレッスンをお受けになられることをおすすめします。
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