インナーマッスルとアウターマッスル
モーラー奏法においてでさえも、厳密な意味で完全に何の筋力も一済使わないということはありません。ただ、一般的な人の筋肉の使用感と脱力が進んだ人の使用感には、大きな差があることを知っていただきたいのです。普通はこの違いを認識することができないため、自分の動きに無駄な力が入りやすくなるのです。ドラムを叩くということにおいて、疲労感や痛みなどをともなうような使い方はよくないのです。残念なことですが、一般奏法においては、たとえ、自覚症状がなくても、叩けば叩くほど、アウターマッスルが硬直し、疲れをまねきやすい動かし方をしてしまうことが多いのです(ただし、モーラー奏法においても、アウターマッスルを厳密な意味で完全に使わないということはありません。例えば「ちからこぶ」といわれる上腕二頭筋は肘関節の屈曲に使われることで有名ですが、前腕の回外においても使用します)。筋肉の硬化は、体幹部から腕へのしなやかな伝達を阻害してしまいます。ドラムを叩くと筋肉が硬直するのではなく、叩けば叩くほど柔らかくなるのが理想なのです。
当ドラムレッスンでは、リラックスしながら運動するためには、インナーマッスルの活性化が大切であると考えています。
簡単にいうと筋肉には階層があり、その種類には、アウターマッスル(表層筋)とインナーマッスル(深層筋)があります。よく筋トレと称して筋肉に大きい負荷をかけつづけるトレーニングがありますが、その方法できたえられる多くがアウターマッスルとされています。もし、アウターマッスルだけが発達して、インナーマッスルが活性化できていなければ、バランスの悪い筋肉の使い方になってしまいます。インナーマッスルの活性化の方法は、一般的にいう筋肉を鍛えるという方法とは違います。鍛えるというと、筋肉に大きな負荷をかけ続けつづけて運動するということを想像してしまいますね。しかし、インナーマッスルを活性化するには、負荷をできるだけ少なくして動かすことが大切なのです。
実際に運動しているときの実感としては、「こんなのでいいのかな?」と思うくらい楽に動いています。
ドラミングにおいて大切なインナーマッスルは股関節を屈曲させる腸腰筋、肩甲骨を上げる肩甲挙筋、肩甲骨を外転させる小胸筋、上腕骨を内旋させる肩甲下筋などが上げられるでしょう。
これらのインナーマッスルは、普通の人であるならば、あまり活性化できていない部分なのです。ドラムにおける動作改善にも大きく貢献する筋肉です。アウターマッスルの使用をできるだけ少なくし、インナーマッスルを活性化し、動きながらリラックスをすすめましょう。