テンポと落下スピードについて
モーラー奏法を習得していく過程では、重力を利用した脱力感の習得が、とても大切です。とくにテンポがゆっくりな場合は、腕の落下スピードを考慮に入れた練習が重要になります。当ドラムレッスンでは習得の初期の段階で、インフィニティーを描くという練習をします。これは初めにスピードを一定にして描くのですが、腕の外回転時に脱力を意識すると、インフィニティーを描くスピードが変化してきます。外回転時には割りと素早く描くようになり、内回転時には、ゆっくりと描きます。脱力ができていない人のほとんどは、このインフィニティーの描き方が一定のスピードに固定されてしまっています。こうなってしまうと、ゆっくり描いていても、上腕が落下スピードと異なるため、腕を落とすという感覚を利用できず、疲れがたまってしまいます。モーラー奏法に初めて取り組む多くの人が、上腕や肩の疲れをうったえます。これは上腕やけんこう骨を落下させることができないためにおこる痛みなのです。重力を感じて落とすことができれば、疲れはまったくなくなります。これは、2次元的なインフィニティーから、3次元的な立体のインフィニティーに変換するとき、このことが顕著に現れてきます。独学でモーラーを習得しようとしている人は、このあたりがわかりにくいと思います。脱力の感じがつかめない人は、脱力できている人の演奏を直接見ていただきたいのです。映像などでも悪くはありませんが、映像で脱力を確認できるのは、自分自身が脱力を身につけている人なのです。上腕やけんこう骨の落下スピードは、テンポによって変化するものではないので、超高速のときを除いては、この落下をしっかり利用できるようにしましょう。