自然なリバウンドを利用する効用
モーラー奏法の特徴のひとつに自然なリバウンドを利用するストロークがあります。グリップを考える際にとても重要なポイントにもなります。そもそも打面にむかって音を出そうとすると、ほとんどの場合はねかえりの力が発生します。このはねかえりを次の音へと利用しようとすると、自然に指のスティックへの圧力を弱めることになり、指の脱力が進み、スピードも上がるということになるわけです。おわかりでしょうか?自然にはねさせているわけですから、1打1打叩いているという感覚もなく、まるで1打のストロークのなかに複数の音が勝手に含まれているような感じになるのです。このテクニックが習得できると、シングルストロークが驚くほど速くなります。テンポ200以上のシングルストロークでもどこも疲れることなく演奏できます。一般的な奏法において、シングルストロークのスピードを上げる際に起こる前腕部が痛くなってしまうという現象を回避できます。
このテクニックでは、腕全体の動きのエネルギーを利用してヒットし、スティックのリバウンドを、指でスティックをわずかに挟むという行為でコントロールしています。通常のモーラーではないストロークでも、この原理を利用すること自体は可能ですが、リバウンドの威力がなくなっていくと音がとぎれて、連続することができなくなってしまいます。このストロークを連続して利用するためには、モーラー奏法独特の回転運動が適しています。何度も説明していますが、腕というのは回転運動が主体です。その回転には2つあり、内回転したら外回転するというように、必ずセットで動いています。モーラー奏法においては、各々の回転時においてヒットすることができるので、リバウンドを利用したストロークを途切れずに連続させることができるわけです。