スティックを握るということ
シングルストロークやダブルストロークの練習をしていて、スピードを上げようとすると、前腕部(とくにひじのすこし前のあたり)が痛くなることはありませんか?ハードに握ろうとしたり、手首から先だけを動かそうとしたりすると、痛くなってきます。ほとんどのドラマーが「これは仕方のないこと」と思っていることでしょう。脱力の特徴として、脱力が進んでいる人は、進んでいない人を見抜くことができますが、その逆はあまりないのです。それに力が入っているという自覚がないと、痛みがやってくる前のサインを感じることができないため、何のまえぶれもなく突然痛みがやってくるように感じます。そのためしかたないと感じてしまうようです。
しかし、これはしかたないことではありません。 モーラー奏法を習得すると、この類の痛みからはすべて解放されます。いくら音量やスピードが上がっていても、前腕部が痛くなるなどということはありません。 それは体の自然な動きを利用しているからです。
実は スティックを握ろうとすればするほど、腕全体のリラックスに悪影響が及びます。 強く握りこんでしまうと、前腕部の筋肉が硬直します。この硬直がしゃっ骨を軸にしたとう骨のなめらかな回転を阻害してしまいます。また、強く握るということは、必然的に指に意識がいきすぎて、腕全体を先端から動かしてしまうことになりやすいのです。このことが、リラックスして腕を動かすということと反対のことになってしまうのです。 しかし残念ながら、ほとんどの方が、この事実に気がついていません。 それはドラムを叩くうえで、スティックを握らないと叩けなくなると思い込んでしまっているからです。やろうと思えば、ヒットの直前からしばらくはスティックを指で挟むことさえしないで、大音量を出すことができるのです。これは徐々に修得していけば、決して難しいことではありません。
スティックを握るということが、腕全体のリラックスと深い関係にあるということを知っていただければ幸いです。