モーラー奏法 脚への応用
モーラー奏法の脚への応用は、基本的には腕と同じです。しかしながら体全体の重心移動を無視しては、演奏が成り立たないため、体全体の重心をどのように扱うかということを脚への応用レッスン時に説明しています。このことが腕との決定的な違いになります。本来モーラー奏法というのは、腕をどう動かしていくと効率的であるかを考えてはいるのですが、残念ながら体全体をどのように動かすべきであるかというところまでは、掘り下げてはいないのです。この体全体のリラックスの本質的な部分を知らなければ、モーラー奏法の脚への応用はできません。 逆にいうとリラックスの本質的な部分を体得していれば、モーラー奏法が目指している目的を的確につかみ、達成することができます。形だけまねしても意味がないのは、リラックスということからかけ離れてしまっているからです。本当に脱力するためにはかなりの訓練が必要です。
腕が描く軌道にインフィンティーがあったように、脚においてもインフィニティーを描きます。しかし、脚は腕とはちがうある役割を担っているために、腕と同じ軌道にはなりません。つまりインフィニティーが変化しているのです。この動きは、前期のトニーウイリアムスの左足やデイブウエッケルの右足などで観察することができます。みなさんもぜひご覧んになってください。
また、腸腰筋というインナーマッスルの筋肉群のなかにある大腰筋も、重要な役割をはたします。解剖学においては大腰筋は、股関節を屈曲させるという役割があるということがわかっていますが、残念ながら普通の人は、この大腰筋をあまり使えてはいないのです。このインナーマッスルの活性化も脚の奏法にとってはとても重要なカギになっています。