何のための演奏か
ちょっとえらそうなこと言ってもいいですか?
私達の求めているリラックスは何のためでしょうか。
私達の求めている優れた技術は何のためでしょうか。
優れた演奏には体だけでなく、心もリラックスしています。この心のリラックスこそ大切なものなのです。音楽には自分の心をこめた演奏が重要なことは、みなさんもご存じのことと思います。
迷いや嫉妬、疑い、焦り、不安などから解放された心を思い出しましょう。自由で屈託がなく、明るく、前向きで、何か人のためにしてあげたくなるような積極的な愛と感謝に満ちた心をとりもどしましょう。
愛情のない形だけの親切は、本当の喜びにはならいですよね。
優れた演奏には、愛があります。
優れた演奏には、癒しがります。
優れた演奏には、元気にする力があります。
優れた演奏には、いっしょになって泣いてくれる優しさがあります。
体のリラックスばかりもとめてしまうと、心をこめた精神性の高い演奏の大切さを忘れがちになってしまいます。
どうか忘れないでほしいのです。
僕もまた忘れないようにしなければいけないと思っています。
偉大なる悟りをひらかれたお釈迦様は「色心は不二である」とおっしゃられました。色とは色彩のことでななく、体という意味です。色心の心はこころのことです。心とは音楽を感じる主体であります。では不二であるとはどういうことでしょうか。それは二つではないと書きます。それは体と心はまったく同じでもなければ、完全に別々の存在でもないということなのです。
わかりにくいでしょうか:^^
こう考えてみてください。
「体と心は影響しあっている」と。
体の調子がよければ、心はかろやかですし、心が明るく前向きであれば、体まで調子がよくなるということなのです。
みなさんもそのような体験が少なからずおありのことと思います。
音楽は心で奏でるものであり、人々の心にうったえかけるものであります。
いくら優れた技術を持っていても、一番大切な心を忘れて演奏してしまっては、意味がありません。優れた技術は優れた心に奉仕するものなのです。
体の事を中心にリラックスを考えることはとても大切なことです。しかしそのことが演奏にとって一番大切である心の存在を否定することになってはいけません。それはとても残念なことです。
愛と感謝の心をもって演奏にのぞみましょう。