モーラー奏法と音色変化
自分にとって良い楽器を選んで演奏するととても気持ちがいいものですよね。楽器がいいとグルーブまでよくなる気がするのは、きっとあなたも感じていることでしょう。そういう意味で、自分にとって良い楽器を選ぶということは、とても大切なことであります。しかし、もう一つ重要なことを忘れてほしくないのです。それは、同じ楽器でも叩き方によって音が変わるということです。モーラー奏法に
興味がある人の多くが、この奏法による音色変化に注目しているのではないでしょうか。一般的な奏法による音色は、モーラー奏法による音と比べてみると、平坦で、どちらかというと固く、耳の痛い感じがすることが多いようです。これはモーラー奏法による音色変化を体験していないと気づくのは難しいかもしれません。未体験のものというのは、なかなか想像しにくいものであるのと同じですね。モーラー奏法による音は、芯があるのですが、音のまわりがやわらかく、ひろがりがあるような音、高音から低音までまんべんなく出ていながら抜けの良い音、といった感じでしょうか。縁あって、有名プロドラマーの方々にレッスンすることもあるのですが、そういう方々は、いちはやく音色変化のことを口に出され、不思議がる方もいらっしゃいます。昨今ではドラムの音色加工技術も向上し、原音とかけ離れた音に加工することさえ可能な時代になってきました。僕はその技術力を否定するつもりはありません。それはそれでいいと思っています。大切なことは、生演奏時に生楽器の良さをもっともっとひきだすということではないでしょうか。そうすれば、生音の良さをもっとひきだして録音しようという動きが活発になってくるでありましょう。この間も体験レッスンのときに自分のスネアをもってこられた方が、「自分のスネアがこんなにいい音で鳴るんだ!」と驚かれていました。
モーラー奏法による音色変化は、あなたのドラムの表現力を豊かにします。しかもリラックスして叩けているのですから、いいことずくめですよね。