脱力について
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脱力の重要性は、ほとんどの指導者の方が口をそろえて教えていることと思います。もちろん、モーラー奏法の習得においても、脱力というのはとても大切です。脱力とはできるだけ力をぬくということであり、厳密な意味で完全に筋力を使わないということではありません。何の筋力もいっさい使わないということであるなら、私たちは座ってることさえ難しくなるでしょう。筋力は少しは使うのです。大切なことは、「これくらいは使うだろうな」の「これくらい」が、モーラー奏法の場合は普通の奏法と比べて極めて少ないということなのです。普通の奏法をしている方の多くは、「これくらい」というのが、筋力をけっこう使ってしまっているのです。しかもこの脱力の感覚というのは、習得するまでわからないからやっかいなのです。たとえ現在の普通の奏法において疲れがなかったとしても、脱力の感覚が不足しているということがありえ、さらにその事実を自覚していないという残念な状況にあるかもしれないのです。モーラー奏法をしっかり習得している人に教わった方がいいのは、この脱力の感覚を体得しているからなのです。理論だけや外見をまねてみるだけでは、この感覚をつかむことはできないのです。へたをすると逆に疲れることにもなりかねません(モーラー奏法を学び始めはよく上腕付近に力が入りすぎて痛くなることがあります)。以前にも書きましたが、この脱力というのは、合格はあれど完全ということはありえません。達人たちでさえも、完全に習得しきったということはないのです。最初に取り組むのが脱力ですが、一度覚えれば大丈夫ということではなく、演奏する限りずっと進化させていこうという取り組みがとても重要です。