ヒット後のあまりの動き
動画はこちらから 3連系手順2Rスタート
ヒットの瞬間にスティックを握るというのは、常識として広く知られています。しかし当ドラムレッスンにおいては、ヒットの瞬間は、指を伸ばすなどの握りこまないという動作を指導しています。これはモーラー奏法独特の、ヒット後のあまりの動きを滑らかに行えるようにするためでもあります。あまりの運動とはヒットのあとの運動のことです。一般的な奏法においては、ヒット時にスティックを握りこんで力を使うことで、運動を強制的に終了させています。そのため、動かしていた腕を自分で止めるということになり、疲れやすくなるわけです。しかも、考えてみてください。普通、運動の終わりには大きなエネルギーは生まれません。エネルギーが大きく生まれるのは、運動の途中なのです。例えば野球の投手がボールを投げるとき、ボールを投げた瞬間に動きが止まりますか?そんなことありませんよね。そんなことをしたら危ないですよね。投げた後もあまりの運動がありますよね。また、ラグビーでタックルするとき、目指す相手の位置で止まりますか?そんなことありませんよね。その先にめがけて突っ込んでいきますよね。
モーラー奏法においても同じなのです。ヒットの瞬間というのは、運動の途中、回転の途中なのです。ですからこのときに腕の運動を止めるなどということはせずに、スティックが打面を突き抜けて飛んでいくぐらいの感覚で叩くのがいいのです。外回転の場合、叩いた直後に腕の運動を強制的に止めるのではなく、腕が胴体に徐々に吸収されるように終息するのです。習得していない人から見たら、見ため的にはあまり変わらないように見えるかもしれませんが、感覚的にはまったく違います。インフ二ティーを描くという点から考えても、ヒット後のあまりの運動はとても重要です。