ここでは、フリーグリップの形について考えていこうと思います。
しかし、あえて写真は載せないことにします。
それは、形にとらわれてほしくないからです。
フリーグリップの習得の前提として、リバウンドを指で処理せずに、腕でひろう感覚を身につけている必要があります。
その感覚が備わっていないと、理想的な指の脱力はのぞめません。
したがって指の形を理想的なものにすることもできなくなります。
必ず身につけましょう。
誤解を恐れずに断言しますが、リバウンドを腕でひろう感覚がない方は、いくら形を真似しても、フリーグリップを習得することはできません。この感覚をなしにしてフリーグリップをマスターすることはできないのです。
ここでは、2つの点からフリーグリップの形についての考察をしていきましょう。
? 重力との関係を考える。
? エネルギーの伝達との関係を考える。
? 重力の関係 (静的状態での指と重力の関係)
まず、腕が動いていないときの指を考えましょう。
指というのは、力を抜いて完全に力を入れていない状態でも、若干、内側に曲がるという性質をもっています。寝ている人の指を観察すればわかりますよね。
何かの力を加えなければ、指は伸びません。
ムダな力が入っていなければ、手の甲が上になっているとき、指は重力によって伸ばされます。
一方肘が下がってきて、手の甲が横を向くような場合は、重力は指にかかっていますが、指を伸ばすようには働きません。この時、指は曲がりやすいという状況にあります。
つまりここからわかることは、
内回転の時、手の甲は上になり、重力は指を伸ばすように働き、
外回転の時、手の甲は横を向き、指は曲がりやすくなる
(これはマッチドグリップの場合、レギュラーは少し違います。)
ということです。
? エネルギーの伝達との関係(動的状態での指と指にかかる力)
今度は、腕が動いているときの指を考えましょう。
腕の良い動きというのは、基本的に胴体側から順番にエネルギーを伝えるように動きます。この時、上腕の2種類の旋回をともなっているために、手の甲が上を向いたり、横を向いたりするようになるのは先程も説明したとおりです。
エネルギーを伝えるように動くということは、
指が伸ばされるような運動がなされる
ことになります
(多関節運動におけるトルクの存在のうち、筋トルクと重力トルク以外にもトルクが存在します。それが相互作用トルクです。)
それは、まるで、指についた水滴を払うかのように、指は伸ばされていきます。
この事実を考えれば、大きくエネルギーを送るときは、指が伸ばされて、小さく送るときはそれほどでもないということがわかりますね。
フリーグリップを考えるときはこのことを考慮に入れなければならないと、当ドラムメソッドでは考えます。
つまり、大きい音を出そうとするときは、
回転の方向にかかわらず、指を伸ばすようにしてスティックにエネルギーを送り込むこと
が大切です。
フリーグリップには、このように腕からのエネルギー伝達の効率をあげるという役割もあります。
また、その形は、?と?の両方をふまえてつくっていくことが大切です。
一般奏法のグリップでは、ヒットの瞬間に握り込んでしまう傾向にありますから、もし、そうであるならば、感覚は真反対ということになります。
ここから分かることは、フリーグリップを考えるときは、指だけでスティックをどう扱うかを考えても、いっこうに解決できないということです。
次回はフリーグリップの土台となる腕でリバウンドをひろう感覚の養い方の練習を紹介します。
hiromu@drumlesson.cc
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