当ドラムメソッドにおいて、モーラー奏法でのシングルストロークの高速化の方法は大きく分けて2種類あります。今回はそのうちのひとつ、
とう骨の回転について説明します。
とう骨が回転することを
回外・回内と呼ぶのですが、ドラマーにとって、この、とう骨の意識を高めるということは、とても大切です。ここが動いてくると、
楽に動いていながら、スピードを上げることができるようになります。
以前にも紹介しましたが、とう骨はどこにあるかの復習から説明しますね。そもそも、腕というのは、肩甲骨 鎖骨、上腕、前腕というように分化することができます。とう骨というのは、しゃく骨とペアになって、腕の前腕部を形成しています。
以前にも少し解説しましたが、とう骨というのはとても高速に運動できる部分なのです。
そして、とう骨が高速に回転するためには、実は
しゃく骨がとう骨の動きに影響されずに止まる必要があります。言い方を変えると、しゃく骨が動いているようだと、いくらとう骨が動いていても決して質の良い運動にはなっていないと言うことができるのです。
これは、なぜなのでしょうか?
なぜここまでいいきれるのでしょうか?
これを理解するためには、肘の部分の関節がどのようなしくみになっているかを理解する必要があるのです。
びっくりするかもしれませんが、
実は肘の関節は1つではありません。細かく分けると2種類にわかれます。ひとつは、上腕骨としゃく骨。もうひとつは、上腕骨ととう骨です。
上腕骨としゃく骨の関係をみてみましょう。
まずはしゃく骨
しゃく骨はここに出てくる図のように、近位(胴体に近い方という意味)の端は鍵状になっていて、蝶番関節として機能します。つまり、肘の屈曲伸展の動きをまかなっているわけです。
もう一つは、上腕骨ととう骨の関係です。
とう骨はこちら
この図からわかるようにとう骨の近位においては、野球のバットのグリップエンドのようになっていて、くるくるとまわしやすくなっていることがわかります。これが回内・回外の運動になるのです。
考えてほしいことは、もしとう骨が回内・回外の回転をすることで、しゃく骨に影響がでて、ねじれあうように動いてしまうとするならば、それは
本来しゃく骨が動けない方向に動かされていることになります。ただ、しゃく骨にしても、関節にはある程度アソビがあるでしょうから、肘の屈曲伸展以外の運動が全くないわけではないでしょう。しかし、そのようにしゃく骨が動いているようだと、とうこつの回内、回外の運動の質は上がらないということになるわけです(ただしこれは高速に動く時の場合です)。
おわかりでしょうか?
つまり、スピードが上がりにくい、無理に上げると疲れるなどの症状がでます。
ここで、あなたの前腕部を観察してください。
ゆっくりまわすと、しゃく骨ととう骨が捻じれあうように動きますね?
でも、この回転のスピードをあげていくと、ある速さからしゃく骨がとまってきます。
このようになっているひとは、とう骨が速く動くところまで自然に誘導できているひとです。しかし、いくらとう骨を速く動かしても、しゃく骨が動き続けている人は、それ以上にスピードをあげようとすると、痛みやけがのもとになります。そのような場合は、無理にスピードをあげようとしないで、どうしたら、しゃく骨が止まった状態で回内・回外の運動ができるようになるのかを考えて、動きやすさを感じていくことが重要です。
当ドラムメソッドにおいても、独自の研究により、
しゃく骨が止まりやすく、とう骨が動きやすい形を紹介しております。
ドラマーのなかには、手首や指を動かしているつもりで、実はとう骨を動かしているひとは、結構いるのです。
手首の上下運動ととう骨の回転は、見た目に似たような動きに見えてしまう人が多くいるのが事実です。
プロドラマーのレクチャーのなかにも、手首を動かして.....といいつつとう骨が高速で回転していたりするので、この部分はしっかり見抜けないと、自分が良くない運動をしてしまう可能性があります。
とう骨の回内・回外の運動は、単なる手首の上下運動とは違いますので、決して手首から先だけを上下運動するような動きを無理にしないでください。腱鞘炎のリスクが高まります。
どうか、安全に、快適にドラムを叩いてくださいね^^;とう骨の運動である回外・回内を利用したストロークを練習にはいるときは、必ずそれ以前に腕の”流れ”について、しっかりと正しい感覚を身につけておく必要があります。この流れの基本がわからないまま、とう骨の回転に集中した場合、下手をすると、腕の流れが反対になり、肩関節を痛める可能性があります。十分に注意して、正しく指導できる先生のもとでレッスンをお受けになることをおすすめします。
hiromu@drumlesson.cc
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