前回から、モーラー奏法の記号について、当ドラムメソッドの考えをお伝えしております。伝統的なモーラー奏法において、ダウンストロークとアップストロークという定義がでてきます。一方日本国内においても、ダウンストローク、アップストロークという考え方がありますよね?これらは、どのような違いがあるのか、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず第一に、
違いを考える上で大切なことがあります。
それは、そもそも どうして4つのストロークが生まれたのか
ということです。
一般的な奏法においてはスティックの動きで4つのストロークを定義しています。例えばフルストロークにおいては、チップの位置を高い場所から動き始め、ヒットしてまた再び高い位置に戻すというような定義をつくっています。しかし、このように スティックの動きで考えてしまうと、4つのストロークの本質をとらえることができません。 4つのストロークは奏法そのものと考えてしまい、手首から先「だけ」を動かしてしまうと、本当に残念なことですが、 リラックスした動きとあいいれない運動になってしまう のです。批判を恐れずに言ってしまうのなら、 この手首から先「だけ」を動かす行為そのものが、ドラマー達の運動の質を下げてしまう ことになるのです。
では、どのように考えたら、本当の意味で4つのストロークを正しく把握できるのでしょうか?
じつはそれはとても単純で、
アクセントがあるかないかだけで考えればよい
のです。
ドラマーが出す音色にはいろいろあります。柔らかくても芯のあるスネアの音、こつこつとヌケの良いシンバルレガートのピング音、などなど。
このような音づくりも非常に大切なのですが、そのまえにまずアクセントをコントロールできるようにするということも同様に大切なことであるのです。4つのストロークはこのアクセントをコントロールするということを細かく考えていく上でとても便利です。
私たちが演奏する曲には、すべて 時間の流れ
というものを含んでおります。それは、違った見方をすると、今、音を出そうとするとき、次の音はどんな音にするのかの準備をしておく必要があるということになります。例えば、今から大きい音をだすのだけれど、そのあとは小さく出す、とか、今から出す音も次に出す音も小さい音にする。といったような状況が演奏中におこっているわけです。もちろんジャンルによっては、まったく音量差を必要としないものもあります。
4つのストロークはこの音量差をうまくコントロールするために考え出されたものなのです。
4つのストロークとは、フルストローク、ダウンストローク、アップストローク、タップストロークの4つですが、なぜ4つ必要だったのでしょうか ?
アクセントとノーアクセントの2つをわけるのであるなら、アクセントのときはこのストローク、ノーアクセントのときは、このストロークと2つに決めて演奏できるのではないかとの意見も聞こえてきそうです。
しかし、実際は4つ必要になります。
なぜだかおわかりになりますか?
単純に考えるとアクセントはあるかないかの 2 種類になります。
これに、時間の流れを組み入れて、次にくる音符はどちらの音符なのかをあらかじめ決めて、今の音を決める。
例えばダウンストロークは下図のように決定されます。
このように考えると
1. 今の音はアクセントで次もアクセント
2. 今の音はアクセントで次はノーアクセント
3. 今の音はノーアクセントで次はアクセント
4. 今の音はノーアクセントで次もノーアクセント
の 4 種類になりますよね。
これが 4 つのストロークになるわけです。 1がフルストローク、2がダウンストローク、3がアップストローク、4がタップストローク です。
このようにスティックの動きにとらわれずに考えれば、モーラー奏法でも十分に4つのストロークのコントロールが可能になります。伝統的なモーラー奏法においては、1のフルストロークの考え方が見あたりません。ですから当ドラムメソッドでは、独自にモーラー奏法を4つのストロークに対応させたわけです。
モーラー奏法の方も、一般奏法の方も同じドラマーです。モーラー奏法でないドラマーでも素晴らしいドラマーはたくさんいらっしゃいます。私たちは私たちを批判するドラマーのかたも、本当は愛すべき仲間であり、縁のある人たちであると思っております。同じ打楽器を愛するもの同士ですからね^^;
大切な仲間であるからこそ、一生懸命練習する人が報いられる正しい方法をお伝えしたいのです。
無理な動きで練習を続けてけがをした人を助けたいのです。
まじめに努力する人が報いられるようにしたいのです。
当ドラムメソッドは、一般奏法のドラム講師の方にも、志を同じく持つ方であるならば、独自に開発した奏法も含め、全てをお伝えする用意があります。
本気で、日本の打楽器界の基礎を変えていきたい のです!
賛同していただける方をお待ちしております。
hiromu@drumlesson.cc
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