当ドラムメソッドでは、 ストローク について、モーラー奏法の記号を使用しています。まずは、伝統的なモーラー奏法ではどのように定義しているのかということから説明します。その後、当ドラムメソッドで、これをどのように改良したのか。また、なぜ改良したのかをご説明させていただきたいとおもいます。
モーラーブックのなかには、記号が 3 種類でてきます。
それは、▽、△、 ○ (これは右、左は ▼ 、 ▲ 、 ● )の3つです。
これらは、
▽がダウンストローク、△がアップストローク、 ○ がシングルストロークと定義されています。
伝統的なモーラー奏法では、ダウンストロークは腕の外回転でたたきます。これは、デイブウェッケルやジョジョメイヤーなどのレクチャー映像のなかでも確認することができます。主に上腕部のにある肩関節の外旋、内転、伸展などおこし、重力を利用して、音を出すというものです(肘の屈曲・伸展もおこりますよ)。これらの運動を▽という記号であらわしていると考えられます。アクセントを担当するストロークということになります。
つぎに△の記号ですが、これは、アップストロークという定義がなされています。伝統的なモーラー奏法においては、アップストロークは、当ドラムメソッドの動きで表現すると、内回転ということになります。音量はノーアクセントになります。
もうひとつ、 ○ はシングルストロークと定義されています。
当ドラムメソッドでは、この3つの記号に改良を加えました。
順を追って説明しますね。
そもそもフレーズをいろいろ自由に叩けるようになるためには、アクセントフレーズはマスターしなければなりません。これは、一般奏法・モーラー奏法に関係なく大切なことです。
また、アクセントフレーズを細かく構築するためには、4つのストロークが必要です。理由はこちら。じつは
伝統的なモーラー奏法には、フルストロークという概念がありません(少なくともモーラーブックのなかにはみあたりません)。 ですから当ドラムメソッドでは、
従来の記号にフルストロークの概念をつけたしました(▽のマークに ' をつけました。例えば▽ ' など)。
ここで、もういちど腕の回転の方向を思い出してください。回転の方向には 2 種類ありましたね?伝統的なモーラー奏法では、あまり腕の回転については、ふれていないようですが、当ドラムメソッドにおいては、腕をリラックスさせて動かすということを最も大切なこととして考えております。
腕をリラックスして動かすためには、回転を伴うということが、必要条件であることがわかっています。
このように回転ということを、主体に考えているので、モーラー奏法の記号に変更を加えざるをえなかったのです。加えざるをえなかったというのは、どういうことかといいますと、伝統的なモーラー奏法では、腕の運動と音量という面で、とらえきれていない部分があるからです。
はっきり言ってしまうと、
伝統的なモーラー奏法においては、内回転でアクセントを演奏するという発想がありません。
内回転はアップストロークとイコールになってしまっています。でもこれではアクセントを連続させてストロークをする際には、スピードが上がりにくいことになります。このような場合は、回転を交互に行いつつ、アクセントを演奏することで、リラックスを保ちながらストロークができるようになるのです。
ですので、当ドラムメソッドではモーラー奏法による定義を以下のように変更してレッスンで使用しております。
▽ 外回転
△ 内回転
○ 腕をあげない
記号そのものをダウンストロークやアップストロークといった定義ではなく回転で定義することで、
外回転(▽)は、フルストロークを
担当させることができるようになり、
内回転(△)はアクセント(フルストロークとダウンストロークの両方)を担当できるようになります。
そうなることで、アクセントフレーズを多種多様に演奏しながら、同時にスピードも上げられるようになります。なぜなら、腕を滑らかに動かすということ自体が 2 方向の回転を含むわけですから、フルストロークのようなアクセントを連続しておこなう場合、内回転でアクセントを出せることがとても有益なことになるからです。また、 ○ をタップストロークとして扱うようにできれば、4つのストロークをすべてもれなく演奏することができるようになります。
4 つのストロークとモーラー奏法の記号
フルストローク ▽ ' △ '
ダウンストローク ▽ △
アップストローク △
タップストローク ○
当ドラムメソッドでは、このような関係でレッスンをすすめています。
本来ならアップストロークにも外回転が存在しているのですが、約束事が複雑になるため、これらを除外しています。これらを除外して考えても、すべてのアクセントフレーズを上の4つのストロークに対応させた回転の範囲内で演奏することができます。当ドラムメソッドでは、多種多様なフレーズを使って、多くの検証を繰り返しました。その結果、 ここに上げた関係で存在するすべてのアクセントフレーズをもれなく完全に演奏することができることがわかりました。 つまりすべてのフレーズを単純な法則でおこなえるように工夫されたものです。
地味ですが^^; とても画期的なことであると思います。
つづく。
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