ドラムを叩くということは、同然肘の屈曲を使用します。
一般奏法のかたは、ここの屈曲・伸展をメインにして叩く方が多いようです。
これは、モーラー奏法においても行われることです。ただし、モーラー奏法においては、肘の屈曲・伸展が主体とはならずに、上腕の回旋を伴った運動を主体としています。
これは、なぜなのでしょうか ?
なぜ、屈曲・伸展主体の運動は、不利 なのでしょうか。
この疑問にこたえるために、ここでは、 テコの原理 について考えてみましょう。
この図をみてください。
テコの原理を説明するときによくみるものですね。
棒をささえる部分を支点 といいます。
この図では、左端に物体をのせています。仮に40キログラムとします。
地球には重力があるため、左端には下にさがろうとする力が発生します。この部分を作用点 といいます。そして、支点からの距離は1メートルとしましょう。
この物体を落とさないようにするためには、右端をおさえると、楽にささえることができますよね。この部分を力点 といいます。こちらの支点からの距離は4メートルとしましょう。
直感的に感じてもらえれば、わかると思いますが、この力点では、少ない力で物体をささえることができますよね。
そうすると、以下のような式が成り立ちます。
支点から作用点までの距離×物体の重さ=支点から力点までの距離×力
この場合は、 1 ×40=4×10
テコというのは、普通、力で得をするように利用されるものです。
この場合は10の力で40という重い物体をささえていることになります。
テコというのはこのほかに、このような第二のテコと呼ばれるもの、
それでから、第三のテコとか逆テコと呼ばれる、こんな感じのものもあります。
実は上腕二頭筋を使った肘の屈曲というのは、この第三のテコで行う
という状態なのです。
こちらで見比べてみてください。
普通テコというのは、少ない力で、重いものを動かすために使います。
しかし、私たちの肘の屈曲は、この逆で、
力では損をするが、動きでは得をする状態になっているのです。あえて言うなら、わざわざ大きい力を使ってしまう仕組みを利用して、軽いものを動かす
というような感じなのです。
このテコは力では損をしているので逆テコとよばれたりしています。それは腕に、静止状態と運動状態において大きな形状の違いをもたらさないためでもあるのです。
おわかりでしょうか ?
肘の屈曲を担当しているのが、上腕骨と尺骨での関節です。
また、動力の主体の一つは上腕二頭筋です。この筋肉は肩甲骨からとう骨にまたがってついています。
ご覧いただければわかるとおもいますが、テコの原理では
支点から作用点までの距離 × 物体の重さ=支点から力点間での距離 × 力
という法則が成り立ちましたね。
これで考えると、5×2= 1 ×10となり、筋出力は重さの2に比べて10の出力が必要であるであることになります(ただしこれはあくまでも単純計算です。肘の屈曲を担当する筋肉は、上腕二頭筋以外にも存在しています。そちらの筋肉については考えにいれておりません)。これは、明らかに力では損をしていますね。しかし、筋肉の収縮の幅に限界があるために、この位置に付着させるしかなかったのでしょう。
これは作用点の動きを筋出力に頼って動くということが、不合理な仕組みになっていることを意味しています。
この筋肉の付き方から、肘を屈曲するということは、筋出力のわりには、作用点におけるパワーがでないことがわかります。
もし、とう骨のもっと先端である手首側についているなら、おなじ屈曲でも筋出力は少なくなったでしょう。
しかしこれでは、筋肉の収縮できる範囲の限界を超えて、収縮しなければなりません。また骨から大きく離れてしまうので、筋肉断絶のリスクも高まります。
人間の腕は、静止しても動いても便利な関節にするために、動きでは得をして力では損をする仕組みになっていると考えられます。
肘だけではなく、肩関節もこのような逆テコの仕組みになっているのです。
これは同時に、
重力などの筋肉以外でつくるトルクを利用して、動くことが、私たちの腕がもっている機能のあるべき活用のありかたなのです。
では、どのように動いたらいいのでしょうか。
それはすでにこちらで紹介してあるとおりです。
これが、モーラー奏法が一般奏法に比べて有利であるといわれる理由の一つです。
当ドラムメソッドでは、打楽器の奏法において、新しい価値の創造に取り組んでいます。従来の奏法とはまったくことなる運動を提唱して、リラックスをしながら、動くということを考えております。
ぜひ実際にあなたの目や耳、感覚で体験してください。
お待ちしております。
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