すりあしと重心移動
すり足と重心移動
当ドラムメソッドでは、モーラー奏法を脚に応用していくときに、すりあしの感覚を大切にしています。
すりあしのことは、ご存じでしょうか?
手前味噌できがひけますが、私自身はおさないころ剣道をやっておりまして、このすり足はよく練習しました。
いまおもうと、このときに、体全体の重さを足のうらにのせるということを体得したのだなあと、ドラムとは関係がないとおもわれそうなことですが、じつはとても深い関係があったのだなあと実感しています。
このすり足とは、足のうらに徐々に体の重さをあずけることと考えることができます。
このときに、足にある距骨に体重がのせられるように意識できると、楽に支えることができるようになっていきます。 足の骨はアーチ状に構成されていて、距骨に正しく重さが加われば、足の裏全体に分散されると、当ドラムメソッドでは考えております。
以前に、体を楽に足の裏でささえるためには、脚のラインをそろえ、骨盤をそろえる必要があるとご説明しました (体をささえるということ参照)。
文章だけで理解するのは、少々難しいかもしれませんが、剣道などで使うすり足の熟練された状態が、まさに私が説明したかったことをあらわしています。武道に心得のあるかたは、厳しい訓練をつまれておられるでしょうから、例え理屈は理解していなくとも、知らず知らずのうちに身につけているということは、十分可能性のあることです。
すり足はそのように、体の重さを徐々に足の裏にのせることができるようになるので、バスドラの音を出す際に、使うペダルのプレートの動きに対して繊細に対応できるようになると、当ドラムメソッドでは、考えております。
ペダルのプレートは、下に下がることでビーターを動かします。
これは、床をすりあしで徐々に体の重さをあずける感覚があると、プレートの上下の動きにそって、無駄なく徐々に重さを乗せることができるようになってきます。そうなると、それを応用して、ペダルのビーターのバネをうまく利用する感覚も養うことができるようになってきます。
注意しなければならないことは、イスの位置です。
ペダルに対して、足・下腿・大腿の関係が一直線になると、体は支えやすいのですが、脚が動かしにくくなるため、注意が必要でしたね。おおよその目安としてバスドラの正面が、自分の正面とほぼ平行になるぐらいの位置が良い位置です(脚の動きと足のうごき1参照) 。
体全体の重心はどこにあるのかご存じでしょうか?
私たちが立っているときは、体全体の重心は、骨盤付近にある仙骨のやや前方にあるといわれております。
ドラムは座って叩く運動ですので、座ったとき、どこに重心が移動するのかを考慮に入れて動くことはとても重要です。人間の胴体は腕・脚に比べて思ったより重いので、立っているときと比べて、すこし前方に移動している程度ではないかと、当ドラムメソッドでは考えています。イスに座ったら、立っているときとくらべて、脚は前にでていますよね。ですから、その分前方に移動すると考えるわけです。
また、 物質を移動させるとき、もっとも効率の良い方法はどのような方法があるかというと、じつはこの重心をとらえるということがとても重要なのです。無重力状態においては、その物質の重心をとらえて押すと移動が始まります。しかし、重心からはずれると物質は移動しないで回転するといわれています。地球上には1 G という重力があるため、宇宙空間での物質へのアクセスとは同じではありませんが、重心をとらえることができれば、もっとも少ないエネルギーでその物質を移動させることができるようになりますよね。
あまり知られていないことですが、私たちの腕や脚を動かすと、体全体の重心が移動します。腕だけを動かしているのだから、胴体は関係ないと思いがちですが、実はそんなことはないのです。体全体の重心は動いているのです。ですから、腕や脚を大きく動かしているのに、体全体の重心を安定させる(重心の動きを止めるという意味)ことなど、決してできることではありません。そのようなことをすると、胴体の動きを無理に止めようとすることになってしまい、かえって無駄な力みをいれることになってしまいます。動いているときは、体全体の重心は安定させることよりも、動かしていながら、バランスをとるという感覚が大切です。確かに、胴体があまりにも不安定な状態では、動きの質は高まらないでしょう。このようなときは、坐骨で上体をしっかりささえるという感覚が必要です。基本的には、大きく動くのであれば、体全体の重心は一点に止めようとしてはいけません。あくまでも楽に動くということが何にもまして大切なことです。
当ドラムメソッドでは、脚のレッスンのときに、すりあしを使って、体全体の重心移動の感覚を身につけるべく、練習しています。
hiromu@drumlesson.cc
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